梛(ナギ)

梛(ナギ)はマキ科マキ属に含まれる常緑高木。雌雄異株。
日本の本州南岸、四国九州、沖縄、台湾、中国の海南島などの温暖な地方に分布します。

梛の雄花

世界に約100種あるマキ科マキ属のなかで最も有名で、最も美しいといわれる木が梛です。
針葉樹でありながら広葉樹のような幅の広い葉を持つユニークな木なので独立してマキ科ナギ属とされることもあります。

梛の実

熊野詣が盛んであった中世、参詣者は、熊野三山それぞれにて先達(せんだつ。熊野詣の案内人。山伏が務めました)から梛の葉を手渡されました。

熊野十二所権現のうちの第9殿を「一万十万」と呼びますが、一万十万とは一万眷属・十万金剛童子のことで、一万十万には一万の眷属と十万の金剛童子がお祀りされています。

梛の葉はこのうちの金剛童子が変化した姿だとされ、参詣者は帰途の安全を願い、梛の葉を護符として袖や笠などに付けました。

また戦国時代に熊野信仰を全国に広めた女性宗教者熊野比丘尼は、梛の葉を配って人々に喜捨を求めました。

1枚の木の葉に熊野の神さまは宿るのです。

てつ@み熊野ねっと