「梛」の意味はもちろん「梛の木」ですが、「梛」という字には親から子供への願いをいくつか込めることができると私は思います。
神さまの守護
梛は熊野の御神木。その葉は金剛童子(仏教徒の守護神で、阿弥陀如来の化身とされた)の変化身と考えられ、参詣者は帰途の安全を願い、梛の葉を護符として袖や笠などに付けました。あるいは武士が戦場で兜や鎧に付けました。梛の葉が災厄避けのお守りとして使われたのです。
「梛」の字そのものにはそのような意味はありませんが、神さまの守護を得られますようにという願いを込められるように思います。
良縁
梛はマキ科の常緑高木。針葉樹でありながら、広葉樹のような幅の広い葉をもちます。その葉には、縦に細い平行脈が多数あって、主脈がありません。その独特の構造のため、梛の葉は、横には簡単に裂くことができますが、縦にはなかなかちぎることができません。
葉の丈夫さから梛にはコゾウナカセ、チカラシバなどの別名があり、その丈夫さにあやかって男女の縁が切れないようにと女性が葉を鏡の裏に入れる習俗がありました。また梛の葉は裏も表も同じようなので裏表のない夫婦生活が送れるとか。
それらのことから「梛」の字には良縁に恵まれますようにというような願いを込められるように思います。
穏やかな人生
梛という名は、凪(なぎ)に通じることから、漁師や船乗りにもその葉がお守りとされました。
人生という航海を平穏無事に送れますようにという願いを込められるように思います。
正直
梛の葉は、裏も表も同じように綺麗なことから、裏表のない、正直な生き方を表します。
裏表のない正直な人間に育ちますようにという願いを込められるように思います。
美しく
梛はマキ科マキ属に含まれます(独立してマキ科ナギ属とも)。世界で約100種あるマキ科マキ属のなかで最も美しい木だと言われるのが梛です。
美しく育ちますようにという願いを込められるように思います。
「梛」の字そのものにはこれらのような意味はありませんが、梛の木からそのような願いを持たせられるように思います。
また木偏のない「那」の字には「多い」や「美しい」の意味があります。
時折「子どもの名前に梛の字を使いました」とのご報告をいただくようになり、そうした方々のために特別な梛の葉の商品を作ることができたらいいなと考えていました。
梛の葉をトレーシングペーパーで包んだ商品はこれまでも作ってきましたが、トレーシングペーパーにお子様のお名前を印刷したら喜んでいただけるのではないかと思い、minneで受注制作を始めてみることにしました。
表面にお名前、裏面右側にお誕生日や短い文を印刷できます。